【今後あなたには】

高校卒業から10年。
両親と離れてから10年。

オレはまずめったに帰らない実家に久しぶりに帰った。
去年の初夏に庭の草むしりをオヤジがしていたのでオレもなんとなく無言で手伝った。

1時間くらいの作業だったかな。
ひとしきり終えてふと後ろを振り返ると汗だくのまま、続けている父の背中があった。
「もういいよ、あとはオレがやるから休んでろよ」

オレの言葉で立ち上がったオヤジの顔はとても穏やかで見ないうちにすっかり老け込んでいた。
背も小さくなっていった気がした。

今までは父に対してバリバリ働いている印象しかなかったが、そのときオヤジに対してはじめて老いを感じた瞬間だった。同時に、もう親には頼るわけにはいかないのだなと感じた。

そして、今後あなたには決して不自由はさせませんと決意した瞬間でもあった。


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【今後あなたには】
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