【演出】

1985年製作の『グーニーズ』。

この映画の監督として招かれた巨匠、リチャード・ドナーは最新鋭機材を使用した撮影、賑やかな子役達や若いハリウッドのスタッフ達との共同作業を非常に楽しんだ。
彼の長いキャリアの中でもこの映画の撮影は一、二を争うほど新鮮で思い出深いものだったらしい。

しかし撮影最終日。
最後のカットを撮り終わると、あれほど和気藹々と撮影をしたスタッフや出演者達は「じゃ、お疲れ様」とアッサリと家に帰ってしまった。
「最近のハリウッドはこんなにドライになってしまったのか・・・」撮影の終わったセットに酒肴を持ち込んで、何ヶ月も苦楽を共にした仲間達とささやかな「お疲れパーティー」を開くという「古き良き映画界の慣習」を知る彼は変わり身の早い若い世代のスタッフ達に失望しながら、ハリウッドを後にして妻の待つハワイの別荘へ寂しく引き上げた。

しかし別荘で彼を待ち受けていたものは、大きなケーキと別荘に入りきれないほどのスタッフや出演者達。「ハッピー・バースデー、ミスター・ドナー!!」

折しもその日はリチャード・ドナーの誕生日。

「どうせならその日に」という事で製作総指揮のスピルバーグがポケットマネーでスタッフや出演者達をハワイに招きドナー夫人の諒解のもとに盛大なサプライズ・パーティーを企画していたのだった。

撮影最終日の彼らの素っ気なさは、全てスピルバーグの「演出」だったわけ。この演出に巨匠は嬉し涙を滲ませながら感激したとか。

まるで1954製作の「ホワイト・クリスマス」のエピソードのような本当の話。


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【演出】
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