【何よりも大好きな父】

うちの父はダンプの運転手です。
なので、雪の降る前に(北海道です)東北の方に出稼ぎに行きます。
私が物心付いた時からずーっとそうでした。

11月に入ってすぐに行き、お正月だけ帰り、そしてまた帰ってくるのは5月の連休明けだったんです。
そんな訳で、1年の内半分しか一緒にいられない父は、私の事をネコっ可愛がりしてくれていました。
結婚して8年、2度の流産が続き、そろそろ子供は諦めようと話をしていたときにポッとできた子供であるという事も理由の一つだったとは思います。

ご飯を食べる時は必ず父の膝の上。
お風呂に入るのは必ず父と。
寝る時はいつも父の隣で腕枕。
4つ下に妹が生まれ、母に

『お前はしっかり下の子の面倒をみてやれ。上の子は、お前があまりかまってやれない分俺がずっと可愛がっていてやるから。寂しい思いをさせない様にするから。』

と言って、毎日母の作った二人分のお弁当を持って、ダンプに乗せて行ってくれた父。
ずっとずっと父が一番大好きでした。

でも、毎年毎年、寒くなってくると父はダンプに乗って手を振って行ってしまう。
あれは3年生くらいの時だったかな。
父の出発前日、思わず泣きながら父に訴えた事がありました。
『お父さんはなんで行っちゃうの?行って欲しくないよ。一緒に雪だるまつくったりしたいよ。一緒にお姉ちゃん(私)のお誕生日パーティーしたいよ。大好きだから行かないでよぉぉぉ』

父は、黙ってうん、うん、ごめんな、と頷きながら泣いていました。
それを見てまた何故か私ももっと泣きました。

本当は父も、半年も家族と離れたくなんかなかったんだよね。
でも、私達の為に行かざるをえなかった。
今ならわかるけど、あの時はそんな事まで気を回すことができなかった。ごめんね、お父さん。
そんな父は、去年からやっと冬場でもこちらで仕事が出来る状況になった。
先月、新しいダンプも買った。

私の二人の子供達は、『ジジのダンプかっこいいねーーー』と言って、時々平日の幼稚園の休みの日や、昼に帰って来て、父の時間の都合が付く日にはダンプに乗ってついていく。
昔私達がそうだった様に、景色を見渡してはしゃぎ、父の歌う調子はずれの歌を聴いて笑い、それを見て父が笑う。

私は色々な事を父に教えられてきたと思う。
年頃になっても父が大好きな気持ちは変わらなかったし、今でも大好きな父であり、ジジです。


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