【カツ弁の味】

高校生活

家庭の事情で母の姉の家で3年間お世話になっていた

私の家は両親共働き、当時大学生の姉は遊びほうけて家に帰らず
高校生の姉は病気を患っていた

実家にいても両親は疲れており全く私と話してくれなかった
(話しかけても煩い、と叱られた。今思うと皆心に余裕がなかったんだと思う)
小学生のころから私は一人で晩御飯を作って食べていたし、
叔父、叔母がよく面倒を見てくれていた。
親が私に関心を持たなくても
叔母や叔父が本当の娘の様に接してくれていたから、それで良いと思った。

高校3年の冬
用事があり一時的に実家に帰った。
そうしたら、仕事でいるはずもない母がいた。
ストレスのはけ口にされる前に早く用事を済ませて帰ろうとしたら
母が「叔母ちゃん家まで車で送ってあげる」
と珍しく言った。内心、めっちゃ嫌だったけど
断って色々言われるのも嫌だったので用事を済ませ母と車で叔母の家に向かった。

車の中ではお互い無言だった。

叔母ちゃん家の前に着いたとき母は無言で私に紙袋を手渡した。
私は何も言わずにそれを受け取り、車から降りると母は帰っていった。

叔母ちゃん家で紙袋の中身を見ると
お弁当が入っていた。
お弁当の中身はカツ弁当だった。

明日、第一志望の大学の受験
母は忙しい中お弁当を作ってくれていた。

久々に食べた母のお弁当は相変わらず美味しかった


後から聞いた話だが
母は毎日のように叔母にメールをして私の様子を聞いていたらしい。

あのときは言えなかったけど
本当にありがとう。

お母さんのカツ弁の味は一生忘れません。


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