【見守っていてください】
小学校のころは毎日が楽しかった。友達と近所の公園でいろんな遊びをした。
3歳年上の兄貴とその友達ともよく遊んだ。
学校なんてのも苦じゃなかったし、本当に楽しかった。
中学生に上がって1年目、陸上部に入った。
中学校生活も新しい友達ができたり、好きな人に告白して彼女が出来たりと楽しかった。
この頃から、母の病気の重さに薄々気づいていた。
中学一年の夏休み前、母が入院した。癌だった。
もちろん入退院はその前にも何度かあったからそこまで驚きはしなかった。
けれども家に帰って母がいない、母の手料理が食べられないのはきつかった。
学校帰りに病院に行ったこともあった。母は笑顔で俺を迎えてくれた。
医師が「いいお子さんですね。」と笑って母に言った時は正直照れた。
夏休み、父と兄と俺で見舞へ行った。母はやはり元気だった。
8月3日、家族と爺さんや婆さんと見舞いへ行った。
母はすでに言葉をうまく喋れなくなっていた。
少し前まで元気だったのに、辛くなってトイレで泣いた。
8月11日、母は亡くなった。実感がわかなかった。
最後に俺と兄の名前を呼んでいたそうだ。
葬式、クラスの全員が参加してくれた、俺は泣かなかった。実感がわかなかったから。
夏休みも終わるころ、部活をさぼるようになっていた。
家族と少しでも一緒にいたかったからだと思う。
いつのまにか学校もさぼるようになっていた。
友達は全員ではないけれど母を亡くした奴とは絡みづらいのか離れていった。
中二、この頃はもはや週に学校へ行かない方が多かった。
父や兄、担任からクズ呼ばわりされ、気づけば俺は笑わなくなっていた。
なんとか中学生活も終わり、高校生活へ。
自殺未遂もしたし、人生や将来を暗く見ていた俺はどうでもよかった。
前は友達と一緒の高校へ行くとか言ってたものの、結局知り合いのいない高校だった。
俺は一生懸命に道化人を演じた、笑うフリをして人を笑わせた。
でも、限界がきた。何度目かの自殺未遂を機に、高校を辞めていた。
母さん、本当にごめん。あなたの息子はクズに育ってしまいました。
人を騙し、臆病で、ただただ逃げ回る人間になってしまいました。
本当にごめんなさい、ありがとうございました。
父も元気です。兄は挫けたけど今は専門学校へ通っています。
私は変われるでしょうか?見守っていてください。がんばります。
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