【彼とした最後の】

いつからか分からないけど、君の髪が一番黒く見えて。
だから、いつでも目についた。声だって、一番先に聞こえてくる。だから、付き合おう。

って、高校3年の春、彼から告白されました。
人に言うと、何時も笑われる。
きざだって。ホントに、小説とか漫画とか・・・歌詞から引用したみたいな言い回しの多い人でした。
でも、聞いていて、いつも気持ち良かった。

お互い受験生だったし、お付き合いって初めてで、いつも勉強してました。
そして、受験校を決める時、1校だけ、地方の同じ大学を選びました。
念願適って、二人とも第1志望に合格。
それが、その大学でした。
私の両親は反対したけれど、押し切って二人で同じアパートのお隣に住みました。
幸せだった。おままごとみたいだったけど、ほんとに嬉しかった。
朝起きると壁を叩いて、私の部屋で朝食食べて、学校に一緒に行きました。
学部が違うから、先に帰った方がお夕飯の用意して、部屋で待っていました。

3カ月。彼と、一緒に大学生活を送ったのは、それだけです。
ある日、大学で、彼は倒れて・・・そのまま入院しました。
移植が必要で、地元の大学病院に移されました。
私も、夏休みを待ってすぐに帰りました。
彼に適合する提供者を待つうちに、彼の様子も悪くなって。
そんな時、結婚写真を撮りたいと彼から頼まれました。
私達は、周りの大人に頼み込んで、1日だけ担当医の同伴で外出許可をもらい、写真を撮って、指輪を交換して、夜は二人で同じベットに寝ました。

担当医からは、SEXなんて激しい事はできないと釘を刺されていました。
二人で、裸になったけど、彼の痩せた体が悲しかった。
彼は、絶対、死なないって繰り返して、私の全身にキスしてくれました。
抱き合っているうちに、動かないから入れたいって、彼が泣きながら言い出して。
私は、担当医の言葉と、彼の涙に板挟みになって、どうしたらいいのか分からなくなり、彼の前では泣かないと決めていた。けど、涙が出て止まらなくて。
結局、絶対に動かない、と約束して、彼を受け入れました。

その時の、感覚を、書こうと思ったんですが、なんて書けばいいのか、分かりません。
それが、彼と抱き合った、最後の日になりました。
私は、忘れようとしたこともあったけど、やっぱり忘れられない。


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【彼とした最後の】
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