【逆走】

先日小6の息子の運動会を見に行って、息子が自閉症の子と二人三脚をしている姿を見て、26年前を思い出しました。
当時は身障の子もハンディなしで、皆と一緒に走ってた。
あれは小5の運動会で100m走の時。

1組から6組までの6人が背の順に走るのだが、オレは1組
2組は浜田、3組は和田リョウちゃん、4組と5組は忘れた。

6組が体にハンディを持つ子だった。そしていよいよオレ達の番が回って来た。距離のハンデは当然なしで、皆一斉にスタートした。
所がオレがコーナーにさしかかった頃、リョウちゃんは少し前を走っていたが突然止まり、逆走しだした。そしてオレも走るのを止めて、後ろを見ると、
6組の水口クンがコケてうずくまってた。
それを見てオレも水口クンが倒れてる所まで走り出した。(その時のオレは、こんなことしたら先生に怒られるかも・・)と思ってた。しかし、なんと、他の組のヤツらも

水口クンの所へ駆け寄ってきた。そこでの会話は多分こうだったと思う。
和田「泣かなくてもイイって、さぁ立てよ」

水口「・・・」
オレ「水口クン、オレにつかまれ」

水口「ゴメン・・」
和田、他の全員『みんなでゴールしたらええやん』

そして、オレとリョウちゃんは水口クンの脇を抱え走り出した。
そして、他の組の4人も一緒にゴールテープを切った。
ゴールで待っていた先生の中には、人目をはばからず涙を流す先生もいて、『お前らよく頑張ったな』と言ってくれた。(オレは内心ホッとした)あとで聞いた話だが、その時の歓声と拍手は凄かったらしい。

オレにはそんな歓声も拍手も聞こえてこなかったが。

そして夕方、閉会式で校長先生が目を真っ赤にして、『先生は今日の運動会を死ぬまで忘れません』と言った。
6年生になり、リョウちゃんは転向してしまった、オレが同級生で唯一認めた男、和田りょうじは今どこで何をしてるのだろう。

夏ごろ水口クンも大きな病院へ入院してしまい、6年生の運動会はリョウちゃんも水口クンもいない運動会になってしまった。
確かあの日も雲ひとつない快晴だった。

オレもあの日の逆走は死ぬまで忘れない。


………………………
【逆走】
………………………
感動・泣ける(34人)
   ⇒投票する
………………………


このページのURL

トモダチに教える

今日の感動する話バックナンバー
にこにこTOPへ