【青いタバコ入れ】

高3の秋、大好きだったおじいちゃんが亡くなりました。
母方の祖父で、私は(今もですが)父と仲が悪く、あまり好きじゃなかったので
父に怒られたり殴られたりした時はいつもおじいちゃんの家に逃げていました。

高校生になってもボロボロ泣いて飛び込んでくる私におじいちゃんは何も聞かずに、たくさん用意してあるお菓子を目の前に出しては「そんなに泣かないでいいから、これ食べてお茶でも飲め」と、慰めてくれました。

仕事熱心であんなに元気だったおじいちゃんも、4年前に膵臓癌で亡くなりました。
最近おばあちゃんと2人で、おじいちゃんの使っていた農作業用具の物置を掃除していたら、
見覚えのあるタバコ入れが落ちていました。

病気になってから家族に喫煙をとめられていたにもかかわらず、きっと物置に隠れて
こっそり吸っていたんじゃないかと思います。

小さい頃からいつも見ていた青いタバコ入れが物置にポツンと落ちているのを見て、私は涙が止まりませんでした。
たまに大声で怒鳴っても、私にはいつも優しかった。

昏睡状態に入る何日か前、私に笑いかけながら言おうとした言葉は何だったのか、
聞きたいことも話したいこともまだまだいっぱいありました。

4年経った今でも、ぶどう畑に行けば、青いタバコ入れを胸ポケットに入れたおじいちゃんが
黙々と働いているんじゃないかと思ったりもします。

タバコ入れはお仏壇の引き出しにしまってあります。
いつか私が結婚して家を出ることになったら、持って行きたいと思ってます。


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