【さりげない優しさ】

二年前、年があけてすぐ、祖父が入院した。
私は一人暮らしで病院から遠く離れていて、見舞いに行けなかった。

その年の夏の休暇に家に戻り、祖父を両親と兄と5歳の姪と一緒に祖父を見舞いに行った。祖父はぼんやりと天井をみている状態だった。誰の事も覚えていないのだと両親は言った。

が、祖父は姪を見て、急に笑い、もつれた舌で言った。
「いい子、おまえが一番好きだからね、○○ちゃん」
○○は私の小さい頃の愛称だった。
姪は私の小さいときとそっくりだと両親はよく言っていた。

陰気な子で上手く両親に甘えられず、両親にじゃれつく兄をうらやましげに見ていた時に、祖父はさりげなく私の傍に来て私にそう言ってくれていた事を思い出し、泣けた。


………………………
【さりげない優しさ】
………………………
感動・泣ける(14人)
   ⇒投票する
………………………


このページのURL

トモダチに教える

今日の感動する話バックナンバー
にこにこTOPへ